この記事ではペプチド合成の受託サービスを検討されている方におすすめです。
国内には18社の様々なメーカーがサービスを行っている中で、サービスを探し、タブを切り替えて比較していくのは大変だと思います。
そんなペプチド合成を検討されている方に国内ペプチド合成受託メーカーをほぼ網羅した一覧を作成しております。
この記事を参考にしてすれば、各社のサイトを飛び回る必要がなく、目星をつけたメーカーだけの詳細を確認することが可能です。
最後にはライフサイエンス関連の代理店営業をしている私が営業目線から見た、オススメのメーカーも紹介しておりますので、是非最後までご覧ください。
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ペプチド合成とは
ヒトが設計した通りのアミノ酸配列を持つペプチドを合成する手法のことである。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9A%E3%83%97%E3%83%81%E3%83%89%E5%90%88%E6%88%90
古くは1870年代に合成されたアスパラギン酸の熱重合によるポリペプチド様物質が知られていますが、
その後、1907年にグリシンとロイシンから成るオクタペプチドが合成されました。
しかし、この頃の合成はペプチドの一次配列の長さや順序はランダムであったため、オリゴペプチドを生成したという以上の意味はありませんでした。
一次配列の確定したペプチドを合成するには保護基を用いた逐次的ペプチド鎖延長する合成手法が必要で、1932年にアミノ基保護基としてベンジルオキシカルボニル基(Cbz基、Z基)を開発されたことにより一定配列のペプチドを合成しました。
1980年ころまではペプチド液相法が用いられて来ましたが、1980年以降は酵素RNase Aの合成など各種の生体ペプチドの配列決定からペプチドを合成することで生体機能の解析が発展していきました。
また、液相法とは別に1963年頃からペプチド固相合成法が開発され、全く新しいペプチド合成法も確立されるようになりました。
サンプル量が必要な場合や、ラボ内の簡単な設備で合成を行う場合は主に液相法が用いられますが、
配列の長さが必要な場合や任意のペプチドを合成したい場合には固相合成法とペプチド合成装置が用いられています。
現在では、多様なオリゴペプチドが試薬として販売されていたり、ペプチドの受託合成サービスが行われていますので、必ずしも現地で合成を行う必要もなくなってきています。
ペプチド合成の主な方法
主には液相法と固相法がありますが、ここでは固相法に関して記載します。
ペプチド固相合成の基本としては、
側鎖を保護したα-アミノ酸を不溶性樹脂担体に順次結合させていきます。
結合にはリンカーを用います。
1:リンカーへの結合
2:アミノ基の脱保護
3:カップリングを行う
4:上記1~3の工程を繰り返したあと、
目的のペプチド鎖ができあがったら、固相表面から樹脂を切断します。
どの形が得られるかは使用するリンカーのよって異なりますが、
多くは樹脂の切断と同時に除去されるような種類のものが用いられています。
N端の保護基には、酸で除去できるBoc基を用いる方法と、塩基で除去できるFmoc基を用いる方法があります。
参考資料:メルクミリポア ペプチド固相合成の原理と方法
https://m-hub.jp/chemical/873/principle-and-method-of-solid-phase-peptide-synthesis#:~:text=%E3%83%9A%E3%83%97%E3%83%81%E3%83%89%E5%9B%BA%E7%9B%B8%E5%90%88%E6%88%90%E3%81%AE%E5%9F%BA%E6%9C%AC%E3%81%AF%E3%80%81%E5%81%B4%E9%8E%96%E3%82%92,%E3%81%AF%E3%83%AA%E3%83%B3%E3%82%AB%E3%83%BC%E3%82%92%E7%94%A8%E3%81%84%E3%81%BE%E3%81%99%E3%80%82&text=N%E7%AB%AF%E3%81%AB%E3%81%82%E3%82%8B%E3%82%A2%E3%83%9F%E3%83%8E%E9%85%B8,%E7%B8%AE%E5%90%88%E3%81%95%E3%81%9B%E3%81%A6%E3%81%84%E3%81%8D%E3%81%BE%E3%81%99%E3%80%82
国内メーカー一覧
参考価格は純度:最高純度、残基数:10AA、容量:1mgにて記載しております。
※横に見切れている場合は横スクロールしてご覧ください。
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マウスにホイールがない方は、マウスパッドを二本指で触りながら横に動かしてみてくださいね。
メーカー | ユーロフィン | スクラム | ペプチド研究所 | バイオロジカ | 東レリサーチ センター | テクノプロ |
特徴 | ○生理活性の評価 ○タンパク質との相互作用評価 ペプチド抗原酵素の基質 | ○自社ラボでの作業 ○成功報酬で 合成ペプチドをお届け ○クォリティーへの こだわり ○様々な種類の ペプチド合成に対応 | ○高い技術と幅広い 知識のプロ集団 ○合成、品質管理、出荷まで すべて自社ラボ(国内)で対応 ○高難度の合成にもチャレンジします。 - 万一失敗しても費用は 一切頂きません - | ○高い成功率 ○さまざまな修飾アイテムや 安定同位体ラベル化 ペプチド合成も多い ○成功報酬制 ○大量合成やGLP、GMPペプチド 合成の実績あり | ○高品質のペプチドを 短納期で提供 ○100残基以上も 合成可能 | ○疎水性の高い ペプチドの合成 ○丁寧なヒアリング からの提案 |
参考価格 | 問い合わせ ※見積フォームへ 飛びます | 純度:>95% 残基数:10 精製料金:\24,000 合計価格:\46,500 | 問い合わせ ※見積・問い合わせ フォームへ飛びます | 純度:>98% 残基数:10 価格:\24,000 | 問い合わせ ※見積フォームへ飛びます | 問い合わせ ※問い合わせフォームへ 飛びます |
納期 | 問い合わせ 急ぎの方はこちら 超速ペプチド合成サービス 【最短7営業日~】 | 約2~4週間 | 配列、修飾、難度、 合成量により異なります。 (最短1週間~) | 約3-5週間 | 問い合わせ | 問い合わせ |
標準合成範囲 | 1mg~ グラムスケール | 5mg~20mg | 10 mg-25 mg から g, kgオーダーまで | 1mg~ 9mg | 問い合わせ | 問い合わせ |
合成手法 | Fmoc固相合成法 | 記載なし | 固相合成、液相合成、 Boc法、Fmoc法に対応 | 液相および 固相Fmoc化学の両方 | 記載なし | 問い合わせ |
分析データ | ・HPLCデータおよび ・マススペクトルデータ | ・MALDI-TOF-MSデータ ・HPLCデータ | 【通常】 ・逆相HPLC ・アミノ酸組成分析 ・質量分析 | ・MS ・ HPLCデータ添付の 凍結乾燥品 | ・HPLCクロマトグラム ・マススペクトル | 問い合わせ |
参考URL | ペプチド合成サービス概要 ユーロフィンジェノミクス株式会社 (eurofinsgenomics.jp) | ペプチド受託合成サービス | 株式会社スクラム (scrum-net.co.jp) | 受託ペプチド合成受託 | 株式会社ペプチド研究所 (peptide.co.jp) | カスタムペプチド合成受託 サービス 価格など 😊 株式会社バイオロジカ – Peptide Synthesis – (biologica.co.jp) | ペプチド合成 | 株式会社東レリサーチセンター | TORAY (toray-research.co.jp) | 技術ラインナップ | テクノプロ・R&D社 (technopro.com) |
メーカー | コスモバイオ | ベックス | ピーエイチジャパン | ジェンスクリプト | サーモフィッシャー | ハイペップ研究所 |
特徴 | ○年間 5000本以上の合成実績 ○ペプチド合成専門の 経験豊富なスタッフ ○安心の完成保証 | ○未精製品は最短3営業日以内に、 精製品は最短5営業日以内に 出荷(追加料金なし) ○各種蛍光修飾、 環状化など幅広く対応 ○高難易度ペプチドなど 実績豊富 | ○創業当初より様々な 研究機関や企業様への 実績あり | ○厳格な品質保証規定 ○迅速な納期 ○ロット間の高い再現性 | ○リーズナブルな価格 ○難易度の高いペプチドでも あきらめません。 | ○合成、品質管理、出荷まで 一連の 作業をすべて 自社(京都)で対応 ○高純度原料アミノ酸 誘導体を使用 ○高難度の合成もOK |
参考価格 | 純度:≧95% 残基数:10 価格:\40,000 | 純度:95% 残基数:10 合成量:5mg 価格:\65,000 | 純度:98% 残基数:10 価格:\36,300 | 純度:≥98% 残基数:10 価格:\29,790 | 純度:>95% 残基数:10 価格:\35,000 | 問い合わせ ※合成依頼書から 確認ください。 |
納期 | 20営業日 | 最短5営業日以内 | 受注後3-4週間 | 2週間~ | 3週間~ | 10営業日~15営業日 |
標準合成範囲 | 1mg~20mg | 5~50mgまで ※一度の注文は50mgまで | 1~24mg | 1 mg~ (kg単位まで可能) | 1mg~ | 1~20mg まで |
合成手法 | Fmoc固相合成法 | 固相、液相の最適方法を使用 | 固相法もしくは液相法 | 記載なし | Fmoc固相法 | 固相合成 液相合成 Boc法Fmoc法 |
分析データ | ・HPLCデータ ・マススペクトルデータ | ・Massスペクトルデータ ・HPLCデ-タ | ・MS(質量分析データ) ・HPLCデータ ・品質証明書 | 記載なし | ・MASSデータ ・HPLCスペクトルデータ | ・逆相HPLC分析データ ・質量分析データ標準添付 |
参考URL | ペプチド合成 コスモ・バイオ受託製品 どのような構造でもまずはご相談くださ い。 | コスモ・バイオ株式会社 (cosmobio.co.jp) | ペプチド合成 受託| 株式会社ベックス BEX (bexnet.co.jp) | 受託 ペプチド合成 | 株式会社ピーエイチジャパン (phjapan.jp) | カスタムペプチド合成サービス (genscript.jp) | カスタムぺプチド合成 | Thermo Fisher Scientific – JP | ペプチド受託合成 | 株式会社ハイペップ研究所 (hipep.jp) |
メーカー | グライナー | シグマアルドリッチ | 医化学創薬 | 富士フィルム和光純薬 | 免疫生物研究所 | 北海道システムサイエンス |
特徴 | ○受注から製造・出荷に 至るまで徹底した 品質管理と情報管理 | ○豊富な科学的専門知識と 30年間の経験 ○傑出した顧客サービスと 技術サポート ○製品パフォーマンスを保証する 品質に対する責任 | ○縮合の際にマイクロウェーブを 照射して合成を実施 ○未精製の段階で高純度の ペプチドを得ることが可能 | ○安価で迅速な提供 ○約600種類の カタログペプチドを保有 ○GMPペプチド | ○抗体作製を目的とした、 抗原用ペプチド合成の 配列選定 | ○リーズナブルなペプチドから 高純度ペプチドまで対応 ○必要に応じて最適の スケールを選択可能 ○各種特殊処理にも対応 |
参考価格 | 純度:>98% 残基数:10 価格:\47,000 | 問い合わせ ※見積フォームへ飛びます | 純度:>95% 残基数:10 合成量:5mg 価格:\48,000 | 純度:>95% 残基数:10 合成量:5mg 価格:\48,000 | 問い合わせ ※問い合わせフォームへ 飛びます | 純度:>98% 残基数:10 合成量:5mg 価格:\45,000 |
納期 | 問い合わせ | 問い合わせ | 問い合わせ | 約3週間 | 問い合わせ | 約3週間~6週間 |
標準合成範囲 | 問い合わせ | ・0.5~2 mg ・2~5 mg | 1~100mg | mg~kgまで | 問い合わせ | 5~100mg |
合成手法 | 問い合わせ | 固相担体 (FMOCおよび/またはBOC) | マイクロウェーブ 照射下での固相合成 | Fmoc固相合成法 | 問い合わせ | 問い合わせ |
分析データ | 問い合わせ | 問い合わせ | ・MS分析データ ・分析HPLC(純度検定) ・アミノ酸組成分析 | ・HPLC分析データ ・MS分析データ | 問い合わせ | ・HPLC純度測定データ ・LC/MS分子量測定データ |
参考URL | 受託合成 / 解析サービス (gbo.com) | カスタムペプチド・ペプチド ライブラリーの製造 (sigmaaldrich.com) | ペプチド受託合成| 医化学創薬株式会社 (soyaku.co.jp) | AnyGen社のペプチド合成| 【受託サービス】製品情報|試薬- 富士フイルム和光純薬 (fujifilm.com) | 受託サービス| 株式会社免疫生物研究所 (ibl-japan.co.jp) | ペプチド合成 – 北海道システム・ サイエンス株式会社 (hssnet.co.jp) |
営業目線のおすすめメーカー
バイオロジカ
WEBの表記上ではありますが、価格は純度:>98%、残基数:10、1mgで考えた
場合の参考価格として\24,000でしたので、コスパが一番良いです。
しかし、フランスでの作業となるため、納期は3-5週間と納期が少し長いのが気になるところです。
納期はあまり重視せず、コストを抑えたい方にはおすすめです。
ペプチド研究所
国内の自社ラボでの作業となりますので、輸送トラブル等が起こりにくく、
対応が早いのがオススメです。
また、難しいペプチド合成であっても合成成功した実績も多く持ち合わせており、
成功報酬制ですので、リスクも少ないです。
国内作業で、比較的安価で、実績もあるところを希望の方にはオススメです。
まとめ
今回はペプチド合成の受託メーカーに関してご紹介してきました。
私が調べた限りでは18社ぐらいかと思います。
主要なメーカーでいうと、ジェンスクリプト、ペプチド研究所、ユーロフィンあたりではないでしょうか。
表をみて、今まで知らなかったメーカーもあったかとおもいます。
今回を気に合成依頼しているメーカーよりももっと最適なメーカーがあるかもしれませんので、
見直してみてはいかがでしょうか?
このようにこの記事では試薬・消耗品・機器類・受託関連等を比較・まとめております。
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これからも役に立つ内容をまとめていきますので、よろしくお願いします。
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